
沖縄県感染管理研究会
会長 椎木創一
第34回 沖縄感染管理研究会 挨拶
沖縄県感染管理研究会 会長 椎木創一 第34回 沖縄感染管理研究会 挨拶 沖縄県感染管理研究会は1987年に第1回が開催され、今年で第34回を数えます。この2年間は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に襲われ、集合形式で行なってきた本研究会も休止をせざるを得ませんでした。しかしCOVID-19のウイルスの変化、そして社会・医療の向き合い方が変わってきた今、ハイブリッド形式にはなりますのが今年度開催をさせて頂くこととなりました。 COVID-19は感染対策のあり方に大きな変化をもたらしました(図)。COVID-19は施設の大小を選ばず、医療・介護・福祉、そして家庭にまであまねく影響を及ぼしました。そのため「ユニバーサルな感染対策」が求められています。また地域流行が起こるとそこにある医療施設の診療・介護に大きな負荷を与えますので、流行を素早く検知して小さく抑える試みが必要とされます。そして感染対策チーム(ICT)がそれぞれの職能を活かして連携するだけでなく、できる行動を職種や業務の壁を超えて取り組んでいくことが必要とされました。COVID-19への対応は大変な困難を社会に課したのですが、逆にそれをバネに次の世代の感染対策に進化をするきっかけになったとも感じます。 今回はそのようなCOVID-19対策の中で得た知見を共有することや、COVID-19の中で与えた耐性菌やワクチン接種への影響について、一般演題にてディスカッションして頂きます。また基調講演ではCOVID-19が今後どのような影響を与えるか非常に懸念される小児領域について、沖縄県南部医療センター・こども医療センターの小児感染症医である張慶哲先生に基調講演をお願いしております。またCOVID-19でクローズアップされた換気の重要性は施設環境の大きな柱の一つになっています。これからの感染対策を考えうる上では、こうした施設環境を十分に考慮することが必須になるでしょう。そうした知見について工学院大学の筧淳夫教授をお招きして特別講演でお話し頂く予定です。COVID-19に目配せしながらCOVID-19に振り回されない感染対策について、みなさんと理解を深められることと思います。 「あらゆる施設で安全で快適、かつ経済的で質の高い医療を提供出来るようになることを目的とする」という本会の会則は、遠藤和郎先生が繰り返し語ってくださっていた感染対策の大きな目的です。沖縄、そして日本における感染対策が多くの患者や医療従事者、そして地域の人々にとって思いやりを持ちながら、当たり前のように行われることを目指して皆さんと今後もご協力しながら、本研究会がさらなる発展をすることを祈りつつ、ご挨拶とさせて頂きます。


沖縄県感染管理研究会 名誉会長挨拶
故 遠藤和郎 先生
沖縄県感染管理研究会は2006年に第20回を迎えました。歴史ある研究会の活動を広くお知らせするために、ホームページを作製いたしました。会員の皆さまはもとより、多くの医療関係者にご覧いただき、より良い感染管理の実践に結びつけていただきたく存じます。また医療関係者以外の方々には、限られた医療資源の中、日夜努力を続ける医療従事者の活動の一端をご覧頂ければ幸いです。
ここで本研究会の歴史を手短に述べさせていただきます。1987年に琉球大学医学部麻酔科 奥田教授とテルモ沖縄営業所初代所長 宗氏が、「沖縄県の医療に貢献する」を目標に本研究会を立ち上げられました。本研究会の最大の特徴は、医師、看護師、薬剤師、検査技師などが一同に集まり、臨床についての発表を気軽にできる場とすることでした。この伝統は今も受け継がれ、職種を越えた発表が毎回あります。発足時の名称は、「沖縄県医療材料・滅菌管理研究会」と言い、「滅菌研究会」の略称で親しまれていました。古株の看護師さんの中には今でも滅菌研究会とおっしゃる方も居られます。名称に相応しく、当初の発表は中材を中心とした滅菌業務および消毒関係の発表が多かったと記憶しています。1990年になるとメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)の院内感染が注目を浴び、発表内容は消毒、滅菌に限らず、院内感染対策全般にわたるようになりました。1999年に奥田教授の退官に伴い、私が会長を引き継がせていただきました。感染管理についての討論をより活発化させるために、名称を「沖縄県感染・医療材料管理研究会」に変更することとしました。その後、感染管理という言葉は完全に市民権を得、いわゆる院内感染対策のみならず、消毒・滅菌および医療経済的な内容も含まれるようになりました。こういった時代背景をうけて2003年に「沖縄県感染管理研究会」に名称を変更いたしました。
感染対策の目的は、
①患者さんを感染から守る、
②職員を感染から守る、
③医療資源の適正利用、そして最終的に
④良質な医療の提供です。
感染対策の充実と徹底により、患者さん・医療従事者・社会に役立つ医療の提供に貢献したいと考えております。