ご挨拶

沖縄県感染管理研究会
会長 椎木創一
第34回 沖縄感染管理研究会 挨拶

沖縄県感染管理研究会
会長  椎木創一  
第35回 沖縄感染管理研究会 挨拶 
 
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行後、2022年12月に前回の沖縄県感染管理研究会を再開することができました。COVID-19の流行を通して、医療機関だけでなく介護福祉施設、地域、そして国や世界全体は感染対策の在り方を問い直す場面が多くありました。そして2024年が明けてみると、感染症はCOVID-19だけではない、という当たり前の事実を再確認することになっています。2023年冬から始まったインフルエンザの流行により沖縄県では2024年第3週から定点報告が警報レベルを超えています。1) 同時に小児でA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が昨年秋から増加しており、全国でも過去10年で最多報告数を記録しました。2) 

COVID-19を含む気道感染症はその流行が目に見えやすいのですが、人知れず潮が満ちるように地域で広がっているもう一つの波があります。それが耐性菌と性感染症です。検査をしないと保菌がわからない耐性菌は、医療機関としてアウトブレイクに気づくことが遅れやすくなります。同様に、検査を受ければ診断できるが症状が乏しく受診を避けられやすい性感染症も、その広がりが止めにくく大きな問題となっています。梅毒は早期診断して治療を受ければ治癒しますが、受診しないままハイリスク行動が続くと伝播につながります。全国と同様に沖縄県でもその報告数は3年間連続で過去最多を更新し続けており、流行の波が止まる気配がありません。3,4) 

今回の研究会では、COVID-19の影に隠れてアウトブレイクを起こしている性感染症と薬剤耐性菌を軸に据えて、講演および演題をお願いしています。特別講演では沖縄県衛生環境研究所感染症研究センター長の大西真先生に梅毒、そして耐性淋菌を中心にお話していただく予定です。

 「あらゆる施設で安全で快適、かつ経済的で質の高い医療を提供出来るようになることを目的とする」という本会の会則は、遠藤和郎先生が繰り返し語ってくださっていた感染対策の大きな目的です。多くの患者や医療従事者、そして地域の人々にとって、思いやりを持ちながら当たり前に行われる感染対策を目指し、皆さんと今後もご協力しながら、本研究会がさらに発展をすることを祈りつつ、ご挨拶とさせて頂きます。

1)	沖縄県プレスリリース「インフルエンザの流行状況について ~3週連続でインフルエンザ警報が継続しています~」 2024/2/9 沖縄県保健医療部ワクチン・検査推進課 感染症予防班 (https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/027/057/20240209_infulenza.pdf)
2)	NHK「咽頭結膜熱の患者さらに増加 溶連菌感染症とともに10年で最多」2023/12/5(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231205/k10014278521000.html)
3)	沖縄県プレスリリース「沖縄県の梅毒患者報告数が、3 年連続で過去最多を更新 ~梅毒は『早期発見・早期治療』と『パートナーと一緒に検査・治療を受ける』が重要です~」2023/12/15 沖縄県保健医療部ワクチン・検査推進課 感染症予防班(https://www.pref.okinawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/025/836/20231215__baidoku.pdf)
4)	NHK「梅毒の感染者数が3年連続で過去最多を更新」2023/11/28(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231128/k10014271181000.html)


沖縄県感染管理研究会 名誉会長挨拶遠藤和郎
名誉会長写真

沖縄県感染管理研究会 名誉会長挨拶
故 遠藤和郎 先生

沖縄県感染管理研究会は2006年に第20回を迎えました。歴史ある研究会の活動を広くお知らせするために、ホームページを作製いたしました。会員の皆さまはもとより、多くの医療関係者にご覧いただき、より良い感染管理の実践に結びつけていただきたく存じます。また医療関係者以外の方々には、限られた医療資源の中、日夜努力を続ける医療従事者の活動の一端をご覧頂ければ幸いです。

ここで本研究会の歴史を手短に述べさせていただきます。1987年に琉球大学医学部麻酔科 奥田教授とテルモ沖縄営業所初代所長 宗氏が、「沖縄県の医療に貢献する」を目標に本研究会を立ち上げられました。本研究会の最大の特徴は、医師、看護師、薬剤師、検査技師などが一同に集まり、臨床についての発表を気軽にできる場とすることでした。この伝統は今も受け継がれ、職種を越えた発表が毎回あります。発足時の名称は、「沖縄県医療材料・滅菌管理研究会」と言い、「滅菌研究会」の略称で親しまれていました。古株の看護師さんの中には今でも滅菌研究会とおっしゃる方も居られます。名称に相応しく、当初の発表は中材を中心とした滅菌業務および消毒関係の発表が多かったと記憶しています。1990年になるとメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)の院内感染が注目を浴び、発表内容は消毒、滅菌に限らず、院内感染対策全般にわたるようになりました。1999年に奥田教授の退官に伴い、私が会長を引き継がせていただきました。感染管理についての討論をより活発化させるために、名称を「沖縄県感染・医療材料管理研究会」に変更することとしました。その後、感染管理という言葉は完全に市民権を得、いわゆる院内感染対策のみならず、消毒・滅菌および医療経済的な内容も含まれるようになりました。こういった時代背景をうけて2003年に「沖縄県感染管理研究会」に名称を変更いたしました。

感染対策の目的は、
①患者さんを感染から守る、
②職員を感染から守る、
③医療資源の適正利用、そして最終的に
④良質な医療の提供です。

感染対策の充実と徹底により、患者さん・医療従事者・社会に役立つ医療の提供に貢献したいと考えております。

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