
沖縄県感染管理研究会
会長 椎木創一
第33回 沖縄感染管理研究会 挨拶
沖縄県感染管理研究会は1987年に第1回が開催され、今年で第33回を数えます。この長い歴史を紡ぐことができたのも、「チーム沖縄」として皆様がお互いを支持しながら意見交換できる雰囲気を醸してくださってきたおかげです。
「感染対策チームが医療施設には必要である」という当たり前とも言えることが、ようやく一般的な考え方になり、多くの施設でそれぞれ日々起きる課題に取り組んでおられることと思います。感染対策に関わる方々が幅広くなっている昨今の状況をふまえて、今年の研究会は少し風合いを変えて、出来るだけ多くの方々の取り組みを皆さんで共有できる場を提供できるよう、一般演題を広く募集させて頂きました。限られた時間の中で多くのご発表をディスカッションできるようにするため、口演だけであった発表形式にポスター発表も加えて、多くの興味深い演題が揃いました。当日はご参加の皆様もご一緒に、活発な意見交換をお楽しみください。
昨今、常在細菌叢に関する目覚ましい研究の進歩が注目されています。大量の遺伝子を高速に解析できるようになったことで、ヒトの腸管などに存在する細菌がどのようなバランスで成り立っているのか解明され始めました。抗菌薬の使用によりこれらの常在細菌叢が乱され多剤耐性菌を生み出す原因になっていることは知られていましたが、さらに明確に見える形になってきています。こうした知見はこれからの感染対策を考える上で非常に重要なパーツになると思われます。今回は臨床感染症内科医師としてのトレーニングを積まれ、さらに米国で常在細菌叢について研究されてきた杏林大学付属病院
感染症科の嶋崎鉄兵先生をお招きして、この分野の基本的なところから最先端までをわかりやすくお話して頂きます。翌日からの感染対策で一味違った見方ができるようになることと思います。
「あらゆる施設で安全で快適、かつ経済的で質の高い医療を提供出来るようになることを目的とする」という本会の会則は、遠藤和朗先生が繰り返し語ってくださっていた感染対策の大きな目的です。沖縄、そして日本における感染対策が多くの患者や医療従事者、そして地域の人々にとって思いやりを持ちながら、当たり前のように行われることを目指して皆さんと今後もご協力しながら、本研究会がさらなる発展をすることを祈りつつ、ご挨拶とさせて頂きます。